対処方法その2

スーパービジョン

スーパービジョンとは、実際に問題を解決する際に必要なスキル・方法を指導することです。パーソナリティも環境も問題はないが、問題を解決するのに実用的なスキルが欠けているために上手く行かない場合に、カウンセラーが持てる知識で助言・指導を行います。

例えば、言葉の話し方がまずいために上司と上手く行っていない若手社員に敬語の使い方を教える、というようなことや、機嫌が悪くなると家中の物を投げる子供に対する対処法として「投げていいものとして柔らかいボールを買い与えて、他のものは投げてはダメ」としつけさせる、などもっと直接的で具体的な指導方法もあります。

 

コンサルテーション(助言)

コンサルテーションとは、相手に客観的情報・データなどの情報を与える情報提供と、それに基づくアドバイスのことを言います。

スーパービジョンは行動を指示・教育するのみに対し、コンサルテーションではより問題の核心に近い点に対しての情報・アドバイスを与える、より分析的なアプローチと言えるでしょう。

例えば、「受験に失敗して悩んでいて、何もやる気が出ない」という大学生に、アンケートによると大学生の70%がもっと勉強していればよかったと考えているが、そのうちの60%は今を楽しみたいと考えている、というデータを教える、などが情報提供にあたります。
こうすることによって、「自分はみんなと同じ悩みをしているのか」と安心するかもしれませんし、「悔やんでてもみんな今を楽しもうとしてるのだから、自分も楽しくやろう」と前向きになれるかもしれません。

 

ですがもちろん、全ての情報提供が有用とは限りません。受験期直前に、「君の志望校への合格率は10%だよ」と伝えられたら、ショックでさらにやる気をそいでしまうでしょう。

クライアントのレディネス(心の準備)を確かめ、情報を受け入れる素地を作ってから慎重に情報提供をするべきです。

アドバイスは情報を知っていても具体的にどうしたらよいか分からないことに対して、答えの一つを提示してみる方法です。

上の例では、「みんな同じ悩みをしている」という事実を認識しても、では自分は何をしたらよいかわからないという場合に、「手始めにアルバイトなどをしてみてはどうか」と提示してみる、というようなものです。

コンサルテーションを行う必要がある内容は、たいてい相手の心理に抵抗がある内容です。十分に配慮しながら、受け入れやすいような状況を作って行う必要があります。

 

具申

ケースワークの中でカウンセラーが直接行動を行うものと近く、クライアントが属する組織に対して直接働きかけることを言います。

いじめに遭っている子供のクラスの担任に、席替えを行うことを打診する、といった例です。この場合は組織の心理が働くので、具申をすることによってクライアントがかえって不利益を被ることの内容に注意する必要があります。

 

パーソナリティ・カウンセリング

これまでのどの対処法でも上手くいかない場合、クライアントの内面に深く入っていき、感情交流をしながら問題を整理していく方法です。

これまで学んだ理論・手法を総動員しながら、問題に直面できるパーソナリティになるまで面接を繰り返していきます。

 

章末確認問題

この章で学んだことを理解できているか、練習問題で確認しましょう。

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