交流分析は、「精神分析の口語版」という呼び方がされることもあるように、精神分析を土台として派生した理論です。
精神分析がクライアントの内面に迫り、無意識を探ろうとしたのに対し、交流分析では行動の一つ一つに無意識が現れていると考え、行動のパターンに注目します。
交流分析は、大別すると「構造分析」「脚本分析」「交流分析」で成り立っています。
構造分析
人間の性格はどのように構成されているかという要素を分析するものです。精神分析でいう、エス、自我、超自我に該当するものです。
構造分析では、心は「親心(P)」「大人心(A)」「子供心(C)」でできていると考えます。
それぞれの心の働きは、大まかに以下のように説明されます。
- 親心・・・ルールを守る、厳格さ、教育精神、いたわり、保護者的愛情など
- 大人心・・・現実への対処、損得勘定、利害調整など
- 子供心・・・無邪気さ、創造性、自由さなど
誰しもがこの3種類の心を持っていると考えますが、人によってそれらの強さが異なると考えます。
例えば、Pが強力でA,Cが弱い人は、頼りがいがあって立派な人物(Pの働き)だが、自分の利益を考えられないため他人に利用されたり(Aが弱い)、自由なユーモアがない(Cが弱い)ために関わりづらい印象を与えるといった具合です。
Cが強力でP,Aが弱い人は、自分が楽しいことにまっすぐなので一緒にいて楽しいが(Cの働き)、現実感覚がないためふらふら遊び歩いていて頼りがいがなく(Aが弱い)、社会規範意識が少ないため自分勝手なところがある(Pが弱い)というような特徴がある、というように、性格が作られる要因としてこれらの3つの心があると考えます。
自分はP・A・Cがそれぞれどのような強さなのかを自覚することが交流分析のスタートです。
交流分析の提唱者、エリック・バーン
エリック・バーンはカナダ生まれの精神科医で、1950年頃より交流分析を提唱し始めました。
「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」という名言が有名です。
一方交流分析には権威主義的な要素があり、交流分析者と名乗るためには国際交流分析学会の上級会員である必要があること、専門用語が多いことなどから、カウンセリング理論の中でも難解なものであるという認識がされている側面もあります。