行動療法

行動主義に基づいたカウンセリングは、分類すると行動療法と行動カウンセリングに分類できます。

 

古典的条件づけに基づく行動療法

前述の古典的条件づけに基づき、後天的に適した感情や対応を学習してもらうための方法です。行動療法にも具体的手法があり、分類すると以下のようになります。

  • 系統的脱感作法
  • 集団脱感作法
  • 主張訓練
  • 情動心像法

 

系統的脱感作法

行動療法の最も主要な技法で、順を追って特定の刺激に対する反応を鈍らせていく方法です。

例えば犬に近づくことが怖いと感じているクライアントに、まずはリラックスした状態で犬の模型に近づくことをやってみて、安心した、という感覚を学習します。その後、檻に入れた犬に近づいてみて安心できたら、そのままの犬に徐々に近づいてみる、というようなプロセスを踏むことです。

これは古典的条件づけに基づき、特定の恐怖を感じる刺激と同じプロセスに快感情(リラックスなど)を含めることで、刺激に対する反応を打ち消す、という考え方です。

系統的脱感作法のイメージ

系統的脱感作法のイメージ

 

集団脱感作法

系統的脱感作法を集団で行うものです。対人恐怖に関連するものでは、系統的脱感作法よりも効率よく脱感を進めることができるので効果的という考え方です。

 

 主張訓練

はじめの内は恐怖心が伴う可能性もありますが、自己主張をすることによって刺激に対する反応を軽減しようとする方法です。

たとえば自分の意見が言えずいじめられがちな子供を例にあげると、いじめられそうになった時に「僕をばかにすることは許さないぞ!」など、自分の言いたいことをきちんと言う練習をすることで「いじめ」という刺激を軽減することができます。

恐怖心に慣れるよりも積極的に刺激に対応していくので困難な面もありますが、何か抑圧的な原因で上手くいっていない反応の場合は、すっきりした感覚になり易いので早めに効果が表れることもあります。

主張訓練のイメージ

主張訓練のイメージ

 

 情動心像法

これは、感情をうまく刺激してくれるイメージを心に持つ方法です。

恵まれない家庭でひどい環境に居ながらも、「自分はいつかこの国を背負う立派な人間になるべく生まれたんだ」というようなイメージを持つことで、目の前のつらい環境に対する反応を抑える、というようなものです。

行動療法として活用する場合は、意識的に現在の状況を改善するために役立ちそうなイメージを抱くようにしていきます。

 

その他カウンセリングでは用いられませんが、性的反応も行動療法の一種です。性感情を持つことによって不安や恐怖が解消され、改善したい条件づけに影響を与えることができます。