これまで見てきたように、精神分析は人間一般に当てはまる法則を理論化したものです。人間の心理を分析するにあたって非常に汎用的で利便性の高い理論であると言えます。
また、日本でもフロイトの心理学は比較的馴染みがあり、解釈をされた際にある程度解釈の仕方などに一定の理解があることによって、カウンセリングがスムースに進む可能性もあるでしょう。
一方で、精神分析は元々内面を探る方法で体系化されてきた理論なので、科学的根拠に乏しい側面があります。実験による豊富なデータがあまり存在せず、本当に全ての人に当てはまることなのかどうかは証明できていません。医師であるフロイトが神経症患者の治療のために用いていた分野なので、それ以外の場面ではそのまま精神分析理論を当てはめて使用することは困難でもあります。
また、難解な理論を元に徹底して中立を保ち、分析者の立場に徹することから権威的・高圧的になりがちというデメリットもあります。
それでも、精神分析は今も有効な理論で多くの考えに影響を与えた重要な理論で、これを用いて多くのことが説明できカウンセリングに役立つケースも多いものです。クライアントの状況に合わせ、的確に利用していきましょう。
章末確認問題
この章で学んだことを理解できているか、練習問題で確認しましょう。