精神分析理論を活用した面接

精神分析理論では、面接の際にクライアントに自由連想を行ってもらいます。

自由連想とは、何を言うか言わないかを意識的に選択せず、心に思い浮かんだことをそのまま語ってもらうようにします。

自由連想ではできるだけクライアントの無意識に触れることが必要です。そのためクライアントにリラックスしてもらうために、簡易ベッドに横になってもらうなど素の自分を出しやすい環境を作ります。

自由連想によって40分ほど話してもらった後、カウンセラーがその内容についての解釈を加えます。つまり精神分析による面接は、

  1. クライアントの自由連想(約40分)
  2. カウンセラーの解釈(約10〜20分)

によって成り立つということです。

ちなみに理論の種類に関わらず、経験的に面接では約1時間の面接を回数を重ねることが最もカウンセリングを成功させやすいと言われています。

これより長過ぎても短すぎても、面接によって問題解決に成功する可能性が著しく下がるとされているのです。

解釈の方法

精神分析でのカウンセリングで大切なのは2の解釈です。

解釈とは、クライアントの話や身振り手振り、声のトーンなどから得られた情報を元に、クライアントのことを分析し分析内容をクライアントに対して伝えることを言います。

解釈は、「性格分析」「内容分析」の2つに分けられます。

性格分析

これまで学んだ精神分析理論を生かし、「あなたは超自我が強く、抑圧的な傾向がありそうですね」などクライアントの性格に該当する部分を指摘することです。これが的確であることでクライアントの信頼を得やすく、また自分を理解してくれたと感じより豊かに表現をしてくれるようになる可能性が高まります。

性格分析のイメージ

性格分析のイメージ

内容分析

性格分析の内容の理由を探っていく作業です。どうしてそのような問題、課題が発生しているのかということへの仮説を当てはめていきます。

内容分析のイメージ 提示した仮説が相手は無意識に拒否しているものであるため、受け入れられないことも多い

内容分析のイメージ。提示した仮説が相手は無意識に拒否しているものである場合、受け入れられないことも多い

一般に内容分析の内容は無意識下にあるケースが多く、すぐに的確な仮説を見つけることが困難です。解釈を行う際はまず性格分析から行い、徐々に内容分析を行う際の手がかりを増やしていくことが大切です。

尚、解釈は精神分析の中心であると同時に、非常に大きな危険性を伴う作業です。なぜなら、クライアントが何らかの理由により無意識化してしまった事象を掘り起こすことになるので、適切でない解釈を与えてしまった場合にクライアントの症状が悪化する可能性もあるからです。

適切でない解釈とは必ずしも間違った解釈であるとは限りません。事実ではあるが、受け入れる用意ができていない解釈である可能性もあります。

精神分析の理論に立っていても、カウンセリングの際に触れるのは生身の人間です。相手の反応や特徴などを見ながら、目的に沿った的確な解釈ができるように努める必要があります。

抵抗

精神分析では、クライアントが無意識・意識的に本心をさらけ出すことを拒否することがあることを想定しており、その現象を「抵抗」と呼びます。

わかりやすいものでは面接をキャンセルする、わかりにくいものでは同じような抽象的な話ばかりをして問題の核心を語らない、などの行動に現れます。

これは精神分析を行うにあたって、たいてい、辛い・認めたくないなどの理由で無意識下に追いやられていた考えを意識させられることを拒絶しているためと考えられます。

抵抗と見られる現象をまずは的確に見つけ、それをどのように対処して本心・核心を探り出すことができるかどうかがカウンセラーの腕の見せ所です。