心理学には様々な種類があり、それぞれの分野ごとの研究が進んでいます。
- 一般心理学・・人間の心理現象共通の法則を研究する
- 発達心理学・・幼児から老人までの心の発達を研究する
- 性格心理学・・人格や性格の形成プロセスを研究する
- 学習心理学・・経験によって行動がどのように変容していくかを研究する
- 臨床心理学・・主に心の病を治療するための人間の心理と行動を研究する
- 教育心理学・・教育現場での心理学的事実を研究し、教育に役立てる
- カウンセリング心理学・・・カウンセリング現場で役立つ心理現象を研究する
- 産業心理学・・企業内での環境など、経済・産業活動に関連する心理現象を研究する
- 犯罪心理学・・犯罪の発生原因や予防法などを心理的観点から研究する
- 動物心理学・・動物の心理的な行動を人間と比較しながら研究する
など、多種多様です。
心理学は行動を科学的に証明する学問であるため、解決したい問題と関連性の高い行動事象が多く集まっていくことにより、実例や研究結果という形で知見が蓄積されていきます。
したがって、一般心理学の知識だけでは個別具体の現象について、正確に記述・説明・変容の対処ができないことが多々あります。
そのため産業カウンセリングなど、ある特定の専門的職業につく場合は原理原則としての心理学の他にも専門の心理学を学ぶことが推奨されます。
カウンセリングを学ぶにあたっては、その中でも「カウンセリング心理学」「学習心理学」「性格心理学」への理解が大切です。
的確なカウンセリングをするために、心理学以外に必要な知見
カウンセリングを行うためには、心理学の知識だけにとどまらず、クライアントや問題を的確に理解するために以下のような分野の知識も必要とされることがあります。
- 社会科学
- 文化人類学
- 哲学
人間の行動は、個人の心理状況が常にそのまま反映されているとは限りません。集団に属し、集団の中の個人として振る舞う際は個人の考えとは別のことが行われるケースも多いのです。例えば家では面倒見がよくて優しい夫でも、厳しい環境で戦う企業の上司として振る舞う際は怒鳴ることも辞さない怖がられる人間になる、などのケースはよく見られるのではないでしょうか。
こういった人間の行動から心理を理解していくためには、社会科学の知見が役に立ってきます。
また、国が地域、育ちが違うために異なる文化を持つ人々の間に生じる問題を読み解く際に文化人類学の知識が役立ちます。
そして、難しい問題に直面した際に役立つのが哲学です。これは学問上の哲学というよりは、自分自身が考える人間とはどうあるべきなのか、人生とはどういうものなのかというような様々な事象に対する自分の信念とでも言うものです。
たとえば、クライアントに「私は過去に人を殺してしまいましたが、罪の意識が消えません。どうしたらいいでしょうか?」と聞かれた場合にどのように答えますか?その答えを探すときには、あなた自身の「罪に対してはどのように対処するべきか」「人権とは」というような社会的な問題への考え方が鍵になるはずです。
こういう個人的「哲学」の知識は学ぶものではありませんが、普段の生活の中で無意識に生まれる感覚や感想を、「私はこういった考えを持ち、これを大切だと思っている」というように言語化し認識することによって哲学を磨いていくことができます。また、日頃より社会の問題を意識しながら自分なりに考えることも大切です。
このように、一流のカウンセラーになるためには心理学だけではなく、人生・社会というものに精通するように努める必要があると言えるでしょう。