カウンセリングと類似の形態として、サイコセラピーが挙げられます。
サイコセラピーは、主に問題解決よりも人格変容に目的が置かれています。
問題解決と人格変容の違いは、例えば夫婦関係に悩んでいる男女を例に取ると次ようになります。
問題解決
相互に気遣いをするなどの行為によって関係を改善し、夫婦関係に悩んでいる「状態」を解消すること
人格変容
短気である、猜疑心が強い、などの性格そのものを変え、関係に悩むような状態が発生しえないであろう性格に変えること
この違いからも明らかなように、人格変容のほうがより「強い」アクションと言えます。カウンセリングが人格変容に至る内容を含む場合もありますが、問題解決のみでその場合の主目的が解決される場合も少なくありません。
カウンセリングのイメージでは人格変容を行うことが一般的だと考えられているふしもあり、また理論を学ぶことで人格の構成要因をわかったような印象を持ちやすいことから、学びたての初心者カウンセラーはつい人格変容を行うような方向に考えがちになります。
しかしカウンセリングに訪問するクライアントの多くは、根本的な人格を変えなければいけない場合は稀です。にも関わらず不必要な人格変容を目指せば時間がかかる他、人格に問題を抱えているという印象をクライアントが持つことによって、問題そのものが悪化する危険性があります。
サイコセラピーは通常精神的に健常な人ではなく、精神疾患の治療を目的としたものです。カウンセリングを考える際には、この違いに注意しながら目的を検討していくことを心がけましょう。
セラピスト VS カウンセラー
類似の利用をされる用語として、カウンセラーとセラピスト、という用語があります。
こちらも、精神疾患を抱えた患者を対象に心理療法を取る人をセラピスト、一般の健常者のクライアントに対して心理的な分析・対処をする人をカウンセラーと呼びます。
また、「患者」「クライアント」というのも精神疾患があると診断されているかどうかで通常使い分けています。
このカリキュラムでは、患者を対象とした心理療法の理論・考え方を説明する場面でも、便宜上クライアントと表現している箇所があります。これらで学んだ理論を実際に活用するのはカウンセリングの場面であるという前提があるためです。
これらの表記の違いを理解しつつ、自分が活用する先の情景をイメージしながら適宜置き換えて考えていくのがよいでしょう。