なぜカウンセリングの定義が必要か
カウンセリングには様々な種類があり、基本的原則があることを学びました。ですが、「カウンセリングとは何か」と聞かれたらなんと答えるべきでしょうか?正しいカウンセリングを学ぶにあたり、これらの形態の違いに惑わされない原則としての定義を理解することが必要です。
実際にカウンセラーとして対面する仕事をする際には、「カウンセリングの定義」を聞かれることは多くないでしょうが、仕事を進めるにあたって曖昧な事象に遭遇する機会も多くあるはずです。クライアントと個人的な旅行に行くことはカウンセリングに含まれるのか、実際に問題解決を行う手助けまで行うことはカウンセリングの範疇なのか、など、決めなければならないことが多く出てくるでしょう。
そんなときに、自分の中での「カウンセリングの定義」が役に立ちます。
カウンセリングの定義は自分次第
カウンセリングの定義は、wikipediaによれば、“カウンセリングとは、依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談援助のことである。”とありますが、カウンセリングの定義は人によって様々に異なります。例えば、
「カウンセリングとは、人を助けることを目的とした人間関係を作ること」
「カウンセリングとは、行動変容を援助する行為」
「カウンセリングとは、人格変容を手助けする行為」
等、各カウンセラーが自分なりの観点でカウンセリングを表した言葉で定義しています。
上記の分類で見た通り、カウンセリングには様々な種類があります。一般的なイメージでは対面して何か特定の悩みを解決するような形がカウンセリングだと思われていますが、出版物を通じて悩みを解決することもカウンセリングの分類に含まれます。ですから、本テキストを読み進めながら自分なりの定義を見つけられるまでは、できるだけ広い意味でのカウンセリングを認識しておくことでスムーズにカウンセリングを理解していけるはずです。
ひとまず、カウンセリングとは「問題解決の援助か、パーソナリティの成長の援助のいずれかを主な目標とした人間関係」と定義し、詳しい内容に移りましょう。
問題解決
クライアントの抱えている問題を解決することを指します。これは、クライアントが直接相談してきた内容にとどまらず、本人が自覚していない部分の問題を解決することによって総合的な問題を解決することも含まれます。
パーソナリティ
人格のことを指します。「あの人は怒りやすい」「思いやりがある」といった性格のことを指していると考えて差し支えないでしょう。
パーソナリティを変容(人格変容)とは、根本的な性格を変えることを言います。つまり、怒りっぽい人を穏やかな人に変える、自己主張できない控えめな人をハキハキした人に変える、といったことです。