Cl:でも親は頑固だから、そういう今の時代の流れとか、わかんないんですよね。お母さんのことは好きだからあんまり悲しませたくはないんだけど、結婚もしたくない。だからとりあえず遊んでおいてって思ってます。
Co:これまでの話をまとめると、Cさんはすぐ結婚するのはいやだから遊んでおくのがいいと思いながらも、今の状態にも違和感を感じているように思いましたが、違いますか?
Cl:いや、別に違和感は感じてないです。私は遊ぶのが正しいと思っているけど、あまりに親がしつこいのでどうしようかと。
Co:なるほど、そうなんですね。親がしつこく結婚をするよう言ってくることが、一番の悩みだと。
Cl:そうですね。親にいろいろ言われないためにはどうしたらいいのかなと。
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—- 解説 —-
これは非常に難しいパターンですが、質問の技法のセオリーとして、答えやすいような質問を工夫する必要があります。一般に、「Yes」「No」の2択で答えられる質問を聞いてしまうと、特に自分の中で矛盾があるようなことや一方の事実を受け入れたくない内容の場合、質問の答えが本心を表さない場合があります。
上の例ではクライアント自身の内面に不安や困った点があるから相談に来ているのに、いつのまにか親との関係性が問題だというように話の中心がずれてしまいました。今回のように、それに気づかずにクライアントの答えの通りに話を進めると、本来の核心でないところに話が逸れてしまうことは頻繁にあります。
無意識にフタをしているような考え・出来事がある場合は特に、質問の仕方次第で容易に本心が隠れるものです。質問の際にできるだけ、上手に本心を出せるようにしていく必要があります。