「カウンセリング」「カウンセラー」と聞いて思い浮かべるのはどのような仕事をする人でしょうか?
「悩みを聞いてくれて、アドバイスをくれる人」「テレビなどに出てくる人生相談をやってくれる人」「病院や学校などそれぞれの世界の専門知識を持った白衣の人」というようなイメージがよく聞かれます。
この章では、カウンセラーとして一人前になっていく前に、何がカウンセリングで何がそうでないかを識別し理解するために、カウンセリングとは何かについて見ていきましょう。
カウンセリングの種類
ひとくちにカウンセリングと言っても、様々な形態のものがあります。カウンセリングを分類する際には、それぞれカウンセリングの「対象」「目的」「方法」「技法」「場所」「問題」「理論(流派)」と様々な軸があり、それらの組み合わせによってカウンセリングには無限の形態があります。
対象別
個別カウンセリング、家族カウンセリング、グループカウンセリング、組織開発、地域カウンセリング
目的別
治療的カウンセリング、予防的カウンセリング、教育的カウンセリング
方法別
直接コンタクト方式(面接など)、インストラクション方式(ワークショップ、研修会など)、メディア方式(パンフレット、ビデオなど)
技法別
ブリーフ・カウンセリング、クライシス・インターベンション、コンサルテーション、マイクロカウンセリング、ヘルピングなど
場所別
学校カウンセリング、産業カウンセリング、福祉カウンセリングなど
問題別
異文化間カウンセリング、キャリア・カウンセリング、結婚カウンセリングなど
理論別
精神分析的カウンセリング、行動カウンセリング、ゲシュタルトカウンセリングなど
このようにカウンセリングには様々な種類がありますが、通常基本的に一致している特徴もあります。一般にカウンセリングでは、
- 1週間に1回、約1時間の面談を行う
- 数回〜数十回の面談を通じて、特定の問題解決を目指す
- クライアントの悩みを傾聴して、問題点を探っていく
- 原則として、初回ですぐに助言を行うことはない
- 繰り返し、あいづち、受容などの反応をする
- 無条件の肯定的配慮、共感的理解、自己一致を重視する
という基本的特徴があります。(上記分類でのメディア方式などによる一方通行のカウンセリングは、一般にカウンセリングとは別に扱われます)
本テキストでは、このような一般的な面接を行うカウンセリングについて学習を進めていきましょう。